岩波書店の2013年度の社員募集要項に、同出版社の著者や社員の紹介が応募条件として明記されていたことが、縁故採用ではないかとネット上で話題となった。
しかし、ところ変われば何とやら。この春、東京の大学を卒業予定で、北京市で就職活動中という中国人男子留学生は意にも介さない。
「なんでこんなことが問題になるのか分からない。中国では、縁故採用は当たり前。親戚や知人に政府関係者や大企業の重役クラスの人がいれば、履歴書の『特記事項』の欄にその名前を書いておくのは常識ですよ。この企業(岩波)は採用基準を正直に申告しただけ透明性が高い」
男子留学生によると、こうした超就職難の中、コネの有無は就職活動において最重要項目となっているという。
「コネがないなら購入することもできますよ。中国には”コネ紹介会社”というのがある。彼らに頼めば、企業や役所の人事権に影響力のある人物を紹介してもらうことができる。例えば、鉄道局員や地方公務員のポストは日本円にして36~100万円ほどです」(男子学生)
一方、金銭ではどうにもならない、さらに理不尽な応募条件もある。過去には血液型がO型かB型であることを条件として社員採用を行っていたインテリア会社や、「てんびん座を優先して採用す る」と明言する企業も存在した。男子留学生も「『湖南省出身』ということを理由に、書類選考で落とされたことがある」と自らの体験を話す。
しかし、こうした現状にあっても、男子留学生は達観とも諦念ともいえる態度で就職活動を続けている
「人材市場では我々は商品。数ある商品の中からどれを買うか、その判断や基準は購入者である企業に委ねられてもしょうがない。そもそも世の中に平等なんて、ありえない」
かつて「労働者の平等」を掲げた共産主義国で育った若者は、資本主義国である日本の若者よりも現実的だ。